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オーディオショップ『試聴屋』オーナーが個人的な日記を書いています。
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AMP-5513Mk3
AMP-5513Mk3-7511Mk3a.jpg
AMP-5513Mk3とSCA-7511Mk3

Web上では大きさの違いがわかりにくいので、2つの機種を重ねてみました。AMP-5513Mk3がだいぶ大きいのがわかると思います。上から見ると奥行きもけっこうあるので、使う前に設置場所を考えておく必要があります。

AMP-5513Mk3-7511Mk3b.jpg

音は、電源や出力が大きい分、AMP-5513Mk3のほうが重厚な音がします。でも、SCA-7511Mk3は日常的な音量で聴くには充分です。
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SCA-7512にゴールドつまみを付ける
SCA-7512Gold.jpg 
SCA-7512 ゴールドつまみモデル


SCA-7512を購入されたお客さんの要望でゴールドつまみを付けてみました。ゲインコントロール用のつまみはバクーン純正より少し直径が小さいですが、見た目重視でしたらこちらのほうが好みの方も多いと思います。デジカメでは金色がきれいに出ませんが、実物はもっと品のある金色です。
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WorldWide SATRI (AMP-31情報)


AMP-31の情報紹介ページです。日本のバクーンのページとは違いますがきれいで洗練されたページになっています。日本語では表示されませんが、英語とイタリア語、韓国語で表示できます。もし英語で表示されなかったときは一番上の白い文字の[ENGLISH]のところをクリックすると英語で表示されます。
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AMP-31

AMP-31.jpg
AMP-31 (BP社から内部写真公開許諾済み)


 SATRIアンプの韓国モデルAMP-31です。SCA-7511Mk2とほぼ同じ回路にリモコンボリュームを搭載した構成と聞いていましたが、音を聴くとどうもそれだけではなさそうです。SCA-7511Mk2と比較しても明らかに音が違います。純正のSCA-7511Mk2はアッテネータを搭載しているので高解像度な音ですが、AMP-31はボリュームなので解像度は緩いですが、中音から下がぶ厚く出てきます。どういう音楽でもこのバランスは変わりません。小型なのに大型アンプのようなゆったりとした鳴り方です。とても同じ回路のアンプとは思えません。


 何が違うのかと思って開けてみたところ、主に部品が違っています。OSコンは同じですが、抵抗はDALEですし、出力FETは最初からEXICONが使われています。電源の電解コンはBP製アンプに良く使われているAXコンとは違う電解コンです。電源トランスは見ての通りトロイダルです。配線材料は、見たところそれほど変わったものではなさそうですが、ビニール線ではなくテフロン被覆の線のようです。ボリュームはリモコンにするため、よくあるアルプス製のモーター付きボリュームです。


 これだけ部品が違いますから音も違って当然なのですが、このぶ厚いバランスの音は今までの小型SATRIアンプでは聴いたことがなかったのでちょっと驚きでした。他に違うところと言えばケースですが、これは簡単に交換してテストするわけにはいかないので推測するしかありません。ケース材料を厚手にすると音もしっかりしてくるのは経験しています。AMP-31のケースは、天板と底板が8mm、背面が4mmのアルミを削ってぴったり合う形にしています。前面パネルは両サイドに丸みを持たせるため、20mm厚のアルミを削り出して作っているようです。これ、ケースだけでもけっこうお金がかかってます。


AMP-31remocon.jpg

 

 リモコンが付いてますが、これもプラスチック製ではなく、アルミ削り出しケースです。小さいのにずっしり重いリモコンです。これで電源ON/OFFと入力切替、ボリューム調整までできます。本来の電源スイッチは背面に付いていますが、リモコンで電源ON/OFFするため完全に電源を切ってしまうわけにはいかないので、背面の電源スイッチは切らずに使う仕様になっているようです。なので、前面パネルの電源スイッチは、切ってもスタンバイ状態になっています。


 実直に高解像度を狙う方向ではなく、「聞きやすく、雰囲気のいい音楽を奏でるアンプにしたい」という意志が伝わってくるアンプです。

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新SATRI DAC

バクーンには、DAC-2000というSATRI回路を使ったD/Aコンバータがありました。今でも秋葉原で使っていて、音は良いのですが、開発されてからだいぶ日が経ち、さすがに設計が古くなってきたので、バクーンで新しいDACを作ろうとしています。


最近はネットで気軽に音楽が聴けますし、CDをパソコンに取り込んで聴いているオーディオマニアも増えてきています。数年前まではパソコンで音を出しても荒い音でした。パソコンの電源を使っていて音がいいはずがないと思われていましたし、サウンドカードがパソコンに内蔵されていた場合はパソコンのノイズが乗って、とても聴けたものではありませんでした。


ところが、最近はその辺もわかってきて、パソコン内蔵のサウンドカードを使わず、USBやFireWireで外部のデジタルインターフェイスにパケットで音楽データを送り、そこからS/P DIF信号に変換してDACに入れて音を出すと、へたなCDプレーヤーを使うより良い音が出るようになってきました。


そこで、新しいDACにもUSB端子を付け、パソコンを使って本気でオーディオができる装置にしようという計画が進行中です。CDのフォーマットは44.1k 16bitですが、デジタルレコーダーを使って録音すれば最高192kHz 24bitのフォーマットでデータを取っておくことができます。CD音源でもパソコンに取り込んでからソフトを使ってサンプルレートを上げるということもできます。そうすると、44.1kHzの音源を88kHzや96kHzに上げることができます。もちろん本物の88kHzや96kHz音源と同じ音質にはなりませんが、擬似的とは言えデジタルの階段が細かくなるので、聴感上も繊細な音に聞こえます。


iPodや携帯で音楽を聴ければ満足という方はわざわざこんな面倒なことはしないでしょうが、パソコンを高級CDプレーヤーとして使い、高品位な音を出したいと考える人はけっこういるようです。ネットで検索すると多数ヒットします。ただ、これは新しい分野で、基礎を教えてくれる人がいるわけでもないので、こういうことをしているのは若い人ばかりです。


パソコンで再生するときですが、今だと96kHzくらいまでで再生するにはそれほど無理なくできますが、それ以上に上げようとすると、割り込み頻度が高くなり過ぎるせいか、音が途切れたり、プツプツとノイズが出てしまったりします。かなりパワーのあるCPUと大量のメモリ、OSのチューニング、音の良い再生ソフトの選択とチューニングなどいろいろ気を付けないと192kHzを安定して出すのは難しいです。パソコンでデータ処理をするなら多少遅くても待っていれば終わりますが、ハイサンプリング音楽データの再生が難しいのは、基本的にリアルタイムで処理しないと音が途切れてしまうからです。Windowsは、常時多数のスレッドが起動していて、それぞれ割り込み時間を割り当てられて動いています。どれかのスレッドが重い処理をすると、そのスレッドに多くの割り込み時間を取られてしまい、他の処理に遅れが生じます。音楽を再生しているときは音楽の再生を最優先で処理してくれれば問題ないのですが、Windowsはユーザーアプリケーションを動かす場合、優先度を「普通」に設定して動かします。それでも音が途切れなければそのままで構わないのですが、途切れるときは手動で優先度を上げてやると音が途切れなくなったり、音質が安定して良くなったりします。再生ソフトによっては、これがわかっていて、起動されると自分で優先度を高くして動くものもあります。この辺の動作は、ソフトを作る人の腕しだいというところがあります。再生ソフトをいくつか使ってみると、44.1kHzで比較しても、どれもけっこう音が違います。パソコンを使った本格的音楽再生はまだ始まったばかりです。


ということで、新しいDACは、CDでもパソコンでも使えるようになるはずです。たぶん、2~3ヶ月のうちには形になると思います。私も今から楽しみにしています。

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韓国版SATRI

Korea-Catalog1.jpg
韓国のSHOWで配られたSATRI製品パンフレット(左が表、右が裏)


今年4月に韓国で開催されたショーで配られたSATRI製品のパンフレットです。これには日本で販売されないモデルが載っています。SCA-7511Mk3と、デザイン違いのEQA-5640Mk2です。


SCA-7511Mk3は、日本で販売しているSCA-7511Mk2-SPの後継モデルと誤解されそうな型番ですが、中身の回路は基本的にMk2-SPと同じです。ちょっと違うのは、ボリュームが普通のボリュームではなく、リモコンで動くようになっているそうです。それとデザインが全然違っています。こんなデザインです。


SCA-7511Mk3.jpg
SCA-7511Mk3(韓国モデル)


韓国の若手デザイナーがデザインしたものらしいです。ボリュームがリモコンということなので、アッテネーターは使えません。アッテネーターにするとリモコンが使えなくなってしまいます。音の点から見れば後退しているようですが、見た目と使い勝手重視ならこちらを気に入る人もいるでしょうね。ただ、この製品は日本で発売されるかどうか不明です。どうしても欲しいという場合はタキオン経由で取れなくはないと思いますが、価格も20万円くらいと高めなので、「それでも欲しいですか?」という感じです。


EQA-5640Mk2のほうはカタログに小さく写真が載っているだけで詳細はわかりませんが、こちらも基本的にはEQA-5640-SPと同じだと思います。カタログには小さな写真しかなかったのでちょっとボケた写真しか撮れませんでした。


EQA-5640Mk2.jpg
EQA-5640Mk2(韓国モデル)


 正面パネルが良く見えませんが、SCA-7511Mk3と同じデザインで、ボリュームがないだけだと思います。こちらは値段も不明です。興味のある方はお問い合わせ下さい。

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SATRIのバージョンの意味(3) SATRI-ICとV5.1の関係
前回、V4.3に供給する定電流を安定して流すためのICがSATRI-V5.1ということを書きました。SATRI-ICはいつも一定の電流があれば正 確に動作するようにできていますが、V5.1を使わないと、いつも一定の電流が流れることが保証できません。低価格にするためにV5.1が入らない SATRIアンプがあります。これはV5.1の代わりにCRDという定電流ダイオードで代用しています。CRDも一定の電流を流す部品ですが、V5.1ほ ど正確ではなく、大きな電流が流れるほど誤差が大きくなるという性質があります。そのため、たとえばいきなり大きな信号が入ってきたときにはSATRI- ICにも大きな電流が流れるのでCRDにも大きな電流が流れ、そのときに誤差が生じます。より正確な再生を望む場合はV5.1を付けたほうが良いというの はこのためです。


これとは別に、V5.1にもレジンとテフロンがありますから、音色は変化します。
V4.3レジンと V5.1レジンを組み合わせると、どちらもレジンなので、レジンの特徴が強調され、シャープでよりすっきり、はっきりというトーンになります。V4.3テ フロンとV5.1テフロン(Type D)も同様にテフロンの特徴が強調され、より柔らかく暖かみのあるトーンになります。どちらもテフロン基板にすると真空管アンプに近いくらい中低音が豊か になります。


ではV4.3レジンとV5.1テフロンではどうかというと、レジンとテフロンの音がちょうど良い具合にミックスされて聞きやすいバランスになります。V4.3テフロンとV5.1レジンでも同様です。


現在は、V4.3に代わりSATRI-IC-SPになったため、組み合わせが少し減り、Typeの意味も次のように変わりました。


Type A SATRI-IC-SP搭載
Type B SATRI-IC-SP+V5.1レジン搭載
Type C SATRI-IC-SP+V5.1テフロン搭


Type Dというのは今はありません。どちらもテフロン基板という組み合わせができないからです。

ということで、SATRI-ICとV5.1は強い協調関係にあるというわけです。
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SATRIのバージョンの意味(2) V4.3基板材料と音の違い
SATRI-IC V4.3の基板はレジンとテフロンの2種類ありますが、当初はレジンだけでした。基板を2種類作るのは予定にありませんでした。SATRI製品を製造しているバクーンプロダクツという会社は技術的に新しいことをするのが好きで、いつもいろいろなことを考えています。V4.2がそろそろなくなりかけてきたとき、次のICを作る必要が出てきましたが、ただ同じものを作るのでは面白くないということで、IC内に使われていた抵抗をカーボンから金皮抵抗に交換し、さらに基板も何種類か違うもの作ってみて、どれが音が良いか確認しようということをしました。そのとき作った中でテフロン基板ICの音が良かったため、レジンと両方販売しようということになりました。


レジンは絶縁性が良く比較的安価なので基板材料としてよく使われます。オーディオ用基板としても適しています。テフロンはレジンよりさらに良いですが、なにしろ価格が高いので普通の製品には使いません。アンプに使った例ではレビンソンやアキュフェーズがアンプの基板に搭載したことがありますが、かなり高いアンプになります。SATRI-ICの場合は基板面積が小さいのでそれほどではありませんが、それでもレジンに比べてだいぶ割高です。


テフロン基板を使うと、中域にボリューム感が出たように聞こえ、音に暖かみが出てきます。真空管アンプのように柔らかく、女性ボーカルでは声の色気が増す感じがします。回路はレジンと全く同じなのにこの違いがどうして出るのかですが、これは説明できません。原理はともかく、とりあえずこういう音が欲しければ出せるという選択肢があるのは良いことではないかと思います。これに対して、V4.3レジンは上から下まできれいに伸びていて、余計な癖もなく(もともとSATRI回路に癖はほとんどないですが、テフロンよりさらに癖が少ないです)標準的に使えるICです。


V4.3レジンはもうほとんど残っていませんが、V4.3テフロンはまだわずかに残っています。修理したときの交換用などに使えるのですが、回路の点では最新のSATRI-IC-SPができてしまったため、V4.3テフロンの出番が少なくなりました。このICはなくなるともう作りませんので、V4.3テフロンの音が大好きという方はあるうちに予備として持っておいたほうが良いかもしれません。


V4.3と同じ時期にV5.1というICもできました。これはV4.3に供給する定電流を安定して流すためのICです。これもレジンとテフロンがあり、V4.3と合わせて計4種類のICができてしまいました。V4.3の2種類とV5.1の2種類はそれぞれどちらかと組み合わせて使えますので、わかりやすく、これらの組み合わせに名前を付けて、Type A,B,C,Dと呼ぶことにしました。ところが、このような名前を付けると、お客さんから逆に質問が来るようになりました「Type Bってなに?」とか「タイプとかよくわからないので教えてくれ」といった問い合わせです。わかりやすく考えたつもりが逆効果だったようです。


ただ、これらの組み合わせである程度好みの音にすることができますので便利です。4種類の中から選んでいただくには何かの区別がつくようにしておかないとますますわからなくなってしまうので、タイプの区別は残してあります。でも、もっと直感的にわかりすい方法があったら教えていただきたいです。


ちなみに、V4.3テフロンとV5.1テフロンの組み合わせが最も柔らかいトーンになり、V4.3レジンとV5.1レジンの組み合わせが最もシャープでワイドレンジな音になります。この2種類の組み合わせを比較すると、同じ回路とはとても思えないくらい違います。素材の違いだけでこれほど変わる経験をしてしまうと、「癖のない音を出す機器を作るのは本当に難しい」と思います。この違いは電気的に測ってもほとんど差が出ないのでやっかいです。
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SATRIのバージョンの意味(1) V4.3の話

3IC.jpg 

最近、ネットや本などでSATRIが話題になっているらしく、秋葉原に来店されるお客様が増えています。つまり、新しくSATRIアンプに接する方が増えているということなんですが、そういう方から見るといろいろわからないことがあるらしいのです。


一番多い間違いがSATRI回路のバージョンです。長年、SATRIアンプを扱っていると、既に常識になっていることなので、常連のお客様と話すときはわざわざ説明する必要のないことですが、新しいお客様にとってはとてもわかりにくいらしいのです。


バージョンという呼び方はソフトウェアでもありますが、ソフトウェアの場合、バージョンが上がれば古いものを捨てて新しいバージョンに入れ替えて使います。SATRI回路もそれと同じに考えると、一番新しいバージョンが入ったSATRIアンプを買えば済むと思うらしいのです。つまり古いバージョンの回路はいらないと思ってしまいます。


SATRI回路の心臓部にはSATRI-ICが使われていますが、このICだけでアンプとして動くわけではなく、入力から出力段まで全部含めてSATRIアンプと考えます。SATRIアンプのどこかを改良したら、その部分に新しいバージョン番号を割り振るというやり方をしています。そのため最新バージョン(今ならSATRI-V11.1)だけ入ったアンプというのはありません。このようなことはホームページのどこかに書いてあるはずですが、探すのも面倒ということで、SATRIの音を聴くついでにわからないところもお店で聞いたほうが早いと思うようです。それで、毎度同じことを来店される多くのお客さんに話すことになるわけです。


ところで、SATRIアンプのバージョン名称はメーカーが付けていますので、うちでわかりやすいように付け直すとかいうことはしていませんが、一度だけ問題になったことがあったため直させてもらったことがあります。SATRI-IC V4.3ができたときです。このとき、SATRI-ICの上には"V3.0"と表記されていました。これだけ見ると、どう見ても"SATRI-IC V3.0"だと解釈しますよね。でもこれは意味が違うんです。メーカーによると、SATRI回路はIC化する以前、全てディスクリートで組んでいました。当時の基板を見ると、IC化される前のSATRI回路部分と、それ以外の回路が1つの基板に入っていて今よりトランジスタがたくさんあり、「ずいぶんトランジスタが多いアンプだな」という印象でした。その時の回路がV1.0でした。それを改良してV2.0、V3.0となり、IC化されるときにはV4.0になっていました。ここでほぼ改良も終わり回路が固まったのでIC化することになりました。最初にIC化されたものと、次のロットがそれぞれSATRI回路V4.0の1番目のロットと2番目のロットになりましたが、この2つのICには(なぜか)バージョン番号が書かれなかったため、単にSATRI-ICとだけ呼ばれていました。問題になったのは第3ロットになったときです。このとき、はじめて"V3.0"と記載されました。メーカーとしては「IC化するSATRI回路はV4.0なのが当たり前」と考えていたためわざわざV4.0と書く必要はないと考え、単にロット番号として"V3.0"と書いておきたかったらしいのです。ICの種類が増えたので他のICと区別しておこうとしたようです。


ところが、お客さんから見ると、"SATRI-IC V3.0"としか読めません。でも、SATRI回路のV3.0はICになる前の回路ですからこれをSATRI V3.0と思われると困るな、と思っていたところ、案の定お客さんから「これはSATRI回路V3.0ですよね?」という問い合わせがあり、いちいち訂正しなければならなくなりました。さすがにこれはまずいということで、V4.3という名前にさせてもらいました。これなら誤解はありません。


ホームページでこのように説明して販売していましたが、IC上には相変わらず"V3.0"と書かれているわけですから、事情を知らないお客さんからは「なんでV4.3を注文したのにV3.0が届くんだ」というクレームがちょくちょくきました。それでまた同じ説明をして納得していただくということをやっていました。これが今のSATRI-IC-SPになるまで続きました。


ということで、売るほうもけっこう大変な思いをしているというお話でした。

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オプションつまみ

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ゴールドつまみ

 

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山型つまみ


デモ機などに使っているつまみですが、これは以前illusionシリーズのアンプとイコライザー用に作ったつまみです。7511系のつまみは25mmφなので、同じ直径のつまみが入ります。


SATRIアンプに標準で使われているつまみはベークライト削り出しのつまみですが、これはお客さんによって好みの差が激しく、このつまみが嫌いだから買わないというお客さんもいるくらいです。デザインはバクーンの特徴を出すため、今でもバクーンが決めていますので、なかなか変えにくい部分なのですが、台数がまとまれば好みのパネルとつまみにすることも可能です。


パネルを変更するにはそれなりにお金がかかりますが、つまみだけなら既に作ったものがありますので簡単に交換できます。つまみを変えるだけでも見た目の印象がだいぶ変わります。デザインを何とかしたいとお考えなら、今あるつまみに変更することは簡単にできますので、ご注文時に指定していただければそのつまみを取り付けてお届けできます。


今在庫があるつまみは5種類です。25mmφのつまみは7511系のアンプに使えます。AMP-5513-SPなどの大型アンプに使われているつまみは35mmφなので、30mmφのつまみを付けると少し周囲に隙ができてしまいますが、それでも構わなければ、30mmφのつまみもお使いいただけます。

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数がそれほど多くないため、つまみだけお譲りするのは難しいですが、少しでしたらお譲りできます。自作アンプや自作アッテネーターなどに使っても合うと思います。セイデンスイッチの軸にも合います。どれでも1個 ¥1,000(税込、送料込)です。

 

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自宅試聴の誤解

SATRIアンプを自宅試聴で借りたお客さんで、ときどき「音が悪い」と言う感想を寄せてくる方がいらっしゃいます。もともとアンプは単体で音が出るものではなく、他の機器との組み合わせで音が出るものです。それらの総合で出た音に違和感があったとき、今入れ替えたSATRIアンプが悪いと思ってしまうのは一見正しいように思えますが、たいていの場合、SATRIアンプ以外の機器の調整やセッティング、音色が合っていないことが多いです。というのは、秋葉原で毎日SATRIアンプの音を聞いていますので、組み合わせるスピーカーやセッティング、ケーブルなどでどのように音が変わるかわかっているからです。もしSATRIアンプの音が本当に悪かったとしたら、どのスピーカーと組み合わせても良い音が出るはずはありませんよね。なので、貸し出したアンプの音が悪いと言われても、アンプが壊れていない限り、それほど変な音が出るはずはないんですね。今までの経験からしても、そんなに変な音がしていたら試聴や実験のために何時間も聴き続けられるはずがありませんし、試聴して購入するお客さんもいないはずです。


そんなわけで、音が悪いと言われたときは、大抵の場合、単に「好みに合わない音が出た」というだけだと思っています。SATRIアンプで高能率のホーンスピーカーで鳴らしたときと、能率の低いコーン型スピーカーで鳴らしたときでは出てくる音はかなり違います。同じアンプでもスピーカーが違うだけで音の印象は相当違ってきます。でも、たいていの場合、お客さんは1組のスピーカーでしか試聴しません。2組持っていたとしても、主にメインで使っているスピーカーで試聴します。そのとき、その人の好みの音で鳴れば良いですが、そうでなかったとき、スピーカーのセッティングを調整し直したり、ケーブルを変えてみたり、何日かじっくり鳴らし込むといった「良く鳴らすための努力」をしないまま、わかったつもりですぐ結論を出してしまうというのはその人にとっても損ではないかなと思います。


SATRIアンプは全段無帰還で、増幅方式も特殊です。特に低音の出方は他のアンプと大きく異なります(低音以外も違いますが)。若い方ですと、余計な先入観がないので相談されたとき少しアドバイスしますと、その通りにやってみて今まで聴いたことがない音が出て良くなったという場合があります。しかし、この道何十年という方ですと、自分のスタイルや音に対する感覚が固まってしまっているせいか、一度ダメと思い込んでしまうと一切の話を受け付けなくなってしまうようです。この商売を長くやってますとその辺の感覚がだんだんわかってきまして、そういう方にはあまり余計なことは言わないようにしています。そういう方は自分のやり方で頑張られると思うので、うちとは縁がなかったと考えることにしています。


個人的には今までアキュフェーズやマークレビンソンといった市販の高級アンプを使ってきましたが、現在それらを使っていないことから見ても、私にとってSATRIアンプの優位性は明らかです。市販のアンプも短い時間聞くだけなら各アンプの良いところを味わうこともできますが、オーディオはそう甘くありません。


オーディオ機器の本当の価値は、自分で購入してそのアンプを毎日聴いたときにはっきりわかります。


オーディオ機器は、買って最初の1週間くらいは手に入れた満足感と、それまでと違う新しい音が出るうれしさのせいで毎日楽しく聴けます。その後、だんだんその音に慣れてきて、最初の感動がなくなっていきます。半年過ぎる頃になると、気になる音が耳につくようになります。アンプの個性とか癖の部分です。最初はそれに気がつかないふりをして聞いていますが、そのうちだんだん我慢できなくなってきます。そして、1年過ぎる頃になると雑誌の新製品紹介記事を熱心に見るようになります。評判がいいアンプを聴きに行き、気に入ったものが見つかると買い換えを考え始めます。買い換える機種は、たいていの場合それまで使っていたアンプより高い機種になります。何しろ今よりもっといい音を求めているわけですから、今より安い機種は最初から考えません。このようにして何台ものアンプを買い換えました。最終的には1台400~800万円くらいする高級モデルしか作らないメーカー FM Acousticしか買い換え候補がなくなりました。

FM711Mk2.jpg

「もうFM Acousticしかない」と考え、買うつもりでしたが、試聴させてもらったところ満足できる音ではなかったため買うものがなくなってしまいました。そのときたまたまSATRIアンプと出会い、試しに聴いてみたところ、1週間過ぎても不満が出ず、1ヶ月経ってもアンプを換えたいと思わなかったことから「もしかしてこれは本物なのでは?」と思い始めたというわけです。あれからもう20年近く経ってしまいましたが、今でもSATRIアンプの音を長時間聴いても音に飽きるとか、耳について聞きたくなくなるということはありません。今のSATRI回路は当時よりだいぶ変わってしまいましたが、それでも「音に飽きずに長く使える」という点だけは変わっていません。だからこそ今でも使っているわけです。


SATRIアンプも、内部はいろいろいじれますから、自分で購入したSATRIアンプ内のケーブルや部品など細かい点は好みの音になるようにいじって音を変えても良いですが、SATRIアンプ自体の基本的な良さを把握しないまま「悪い音」で済ませてしまうようでは本質が見えていないのだなと思ってしまいます。


その人にとって一番良い装置は「今自分が使っている装置」です。アンプでもスピーカーでもアクセサリーでも、新しく手に入れたものを入れてみたり、元に戻したり、いろいろ組み合わせたりして現在まで生き残った機器が一番良い装置です。そして、メインの装置から追い出されて使わなくなったものがその人にとって良くない装置です。いくら市場価値が高いものでも、なんとなく使わなくなったものは、今使っているものより良くない装置です。私にとっては、幸いなことにSATRIアンプは現在でもメインの装置からはずれていません。交換したいと思うアンプもまだ出てきていません。交換候補は今までいくつもあり、同時に鳴らして比較しますが、今まで生き残れずどこかに行ってしまいました。どこか進化論に似ていますね。

 

結局、最後まで生き残ったものが最強というわけです。

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ケースに銅を使う意味

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金メッキ銅足

セイデンの切替スイッチBOX LS-701SEとアッテネーターBOX AT-701に使われている銅足はうちで扱っているものとは違いますが、よく似ています。写真は試聴屋で販売している銅足です。これを作ったのは、市販されているいろいろなインシュレーターを試してみて決定版と言えるものが見つからなかったからです。ゴム系の柔らかいものから、紫檀・黒檀、鋳鉄、真鍮、ガラス、水晶、カーボン、ステンレス、タングステンなどいろいろ試しましたが、結局どれを使ってもそれぞれ良い点と悪い点があり、「常用するにはどうか?」と疑問符が付いてしまう結果でした。でも実験としては面白かったですね。タングステンなんかはアンプの下に入れると面白いほど音が変わります。真鍮も比較的わかりやすいです。カーボンと真鍮を組み合わせたものはスピーカーに使うと良かったりしました。


これらのインシュレーターを使った結果思ったのは、結局どれも「素材の音を聴かされているだけだ」ということでした。真鍮を叩いてみると輝きのあるチーンという音がします。この真鍮をインシュレーターに使うと同様の輝きを感じます。もし真鍮のインシュレータを入れて音が良くなったと感じたとすると、元々そのシステムで出ていた音は輝きがない音だったということになります。真鍮インシュレーターを入れて、輝きの不足を補ったから良い音に聞こえるようになったというわけです。タングステンは非常に硬い材料です。なので、たいていの場合、シャープな音になります。反対にゴムは柔らかいので、アンプケースなどの鳴きを吸収します。ケースの鳴きで聞き苦しい音だったらゴム系のインシュレーターが合うはずです。


わかりやすくちょっと大げさに書きましたが、大体このような傾向があります。いろいろなインシュレーターを試してみて、安定して使える材料として残ったのが銅でした。ところが銅だけのインシュレーターは売られていませんでした。たぶん、今でも売られていないと思います。どういう理由かはわかりませんが、インシュレーターを作るメーカーでは当たり前過ぎると考えているのでしょう。売れる製品を作ろうとしたら、新素材とか珍しい材料を使ったほうが注目されますしね。


でも当たり前のようですが、銅は嫌な鳴きが出ない材料ですし、金属の中では硬過ぎもせず、磁性体でもなく、人体に無害で、加工性も良いということで、悪いところがない材料です。なぜ銅を使ったインシュレーターが販売されていないのか不思議ですが、ないものはしかたがないので作ったというわけです。しかし、銅そのままだと錆びてしまいますので、お金はかかりますが金メッキが一番無難なので金メッキにしてあります。錆びると言っても実際には10円玉と同じで2~3日で錆びがはっきりわかるわけではありません。製造年が1年くらい前までに製造された10円玉を見るとピカピカしてますから、何もしなくてもそれくらいは保ちます。金メッキする前の銅足もけっこうきれいなので写真をお見せします。


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メッキ前の銅足

 錆びなければこのままで使いたいくらいです。


さてこの銅足ですが、元はSATRIアンプの交換用として作りましたので、ネジ穴を開けてあります。皿ネジが使えるように、ネジの頭が足の中まで入って出っ張らないようにしてあります。7511系のアンプは標準でゴム足が付いていますが、これを銅足に交換するだけでしっかりした音になります。SATRIアンプのケースは1.5mmくらいのアルミなので、そのままでは鳴きやすいですが、銅足を取り付けると、銅足とアルミが接触した部分だけは鳴きが出なくなります。アルミケースの他の部分が鳴いても、銅足部分である程度鳴きを抑えるようになります。少しですが重量も銅足の分だけ増えますので、それも良い効果をもたらします。銅足を使ってみて効果がわかると、自分で銅板を曲げてSARTRIアンプのケースを作ってしまうお客さんもいます。そこまでやるのは大変というときはもっと簡単な方法があります。アンプの底板に銅板を張り付ければいいのです。接着剤などで貼り付けると元に戻せなくなりますので、できればネジ止めするのが良いです。SATRIアンプの底板と同じサイズに銅板を切ってもらい、トランスや基板と同じ位置に穴開けをしてケースの内側に置き、部品をネジ止めすれば銅ケースと同じになります。天板の内側にも銅板を貼ればさらに良いです。ここまでやると最初から銅でケースと作るのに近くなります。こうなると銅ケースの音に近いどっしりと安定感のある音になります。


秋葉原ではこの銅足をアンプ以外にも使っています。スピーカーのインシュレーターとしても使いますし、CDプレーヤーやレコードプレーヤーの足としても使います。変な癖がないのでどこにでも安心して使えます。インシュレーター選びに疲れたときは一度銅足を試してみると悩みが1つ減ると思います。

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OLD SATRIアンプ
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AMP-5511K

最も初期に販売したSATRIアンプが修理で戻ってきました。AMP-5511Kというキット製品です。もう10年くらい前になります。もう10年たったんだなあという気持ちです。SATRI-ICも一番初期のものが使われていました。10年よく動いてくれたと思います。

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最初期のSATRI-ICが搭載されていた基板

今の回路から見ると、ずいぶん部品点数が少ないように見えます。これでちゃんと50W出ます。AMP-5511Kは、でっかいヒートシンクが特徴でした。当時のSATRI-ICはもうないので、代わりに最新のICに交換して修理完了です。

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SATRI-IC-SPに交換した基板

これでまた10年くらい動いてくれると思います。このように、SATRIアンプは、故障してもほとんど修理できます。SATRI-IC以外は汎用部品でできているため修理が容易です。もしどこかで壊れたり、使われなくなっているSATRIアンプを見つけたら安く引き取ってきて修理すればまた使えるようになります。

修理が終わったAMP-5511Kの音を久しぶりに聴いてみると、やはり今でもAMP-5511Kの音がしていました。ICを換えた分だけ新しい音になりましたが基本は変わらないようです。音が良いと定評があったFETが使われているせいかもしれません。今はこのFETは手に入りませんので、壊れて代わりのFETに交換してしまうとこの音ではなくなってしまうでしょう。

このアンプを修理に出したお客様は、かつて真空管アンプを何台も作ったそうですが、今はこのSATRIアンプをずっと使い続けるつもりだそうです。ちょっとうれしかったです。
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Z-LINK
Z-LINK1s.jpg
Z-LINK

試聴屋ホームページではまだご紹介していませんが、SATRIアンプを使うとき、電圧-電流変換アダプターを使うことがあります。名前をZ-LINKと言います。これは、CANON-RCA変換プラグを利用して作ったもので、中にVishay Z201をサブゼロ処理した抵抗を入れています。はじめは売るつもりはあまりなく、必要に迫られて作りましたが、便利なのでずっと使っています。

SATRIアンプはプリでもパワーでも電流入力端子を使ったほうが音が良いので、できるだけSATRI-LINK端子につないで使いたいわけです。SATRIプリとパワーの間はどちらもSATRI-LINK端子がありますので直結できますが、CDプレーヤーをSATRIアンプにつなぐには電圧出力しか出てきませんので、SATRIアンプの電圧入力端子につなぐしかありません。CDプレーヤーの出力を電流で出すには、プレーヤーの中を改造して電流出力が出るようにするか、CDプレーヤーのデジタル出力をDAC-2000に入れて電流出力を取り出すしかありません。DAC-2000がない場合、CDプレーヤーの出力を手軽に電流に変換する方法がありませんでした。

CDプレーヤーを改造せずにSATRI-LINK端子と接続するには、CDプレーヤーから出た電圧信号を、できるだけ短い距離で電流に変換し、その電流を伝送してSATRIアンプのSATRI-LINK端子に入れるようにできれば良いということで、ケーブルの間に入れて使える電圧-電流変換器を作りました。

Z-LINKのおかげでCDプレーヤーを替えてもSATRIアンプの電流入力端子が使えるのでとても便利です。SATRIアンプは電圧入力で使うと、アンプ内部のV/I変換回路を通って電流に変換されてからSATRI-ICに入ります。Z-LINKを使うと、V/I変換回路をパスできることと、CDプレーヤーの出力からSATRIアンプ内のSATRI-ICの間を電流で伝送できるというメリットがあります。電流伝送のメリットは、電気的につながってさえいればかなり遠い距離でもロスなく伝えられることと、コネクタなどを通ったとき、電圧伝送の場合は異種金属接合部分で電圧波形が歪むことがありますが電流伝送ではその心配がありません。これらの理由で音が違ってくると考えられます。

オーディオシステムが音の差に敏感であればあるほど、電圧入力のときとZ-LINKを使ったときの音の違いがはっきり出ます。SATRI-V11を搭載したSHP-5515Mを試聴したときも、Z-LINKを使った場合と使わない場合を聞き比べましたが、他のSATRIアンプよりもっと大きな違いがありました。もちろん、Z-LINKを通したときのほうが、音がより自然で生々しくなるため、本気で試聴するときはZ-LINKを付けて鳴らしていました。販売価格は\28,000(2個セット、税込)です。

Z-LINKに付けるケーブルですが、CDプレーヤーはRCAであることが多いので、短いRCAケーブルでZ-LINKとつなぎます。Z-LINKとSATRIアンプの間は、Z-LINK側がRCA、SATRIアンプ側がBNCですので、RCA-BNCプラグのケーブルが必要になります。このようなケーブルはあまり市販されていませんので、変換コネクタ経由でつなぐか、自作または特注で作る必要があります。ご要望が多ければケーブル付きでのご注文も可能なようにしたいと思います。便利ですよ。


Z-LINK2s.jpg
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誰でもわかるSATRI回路の動作原理(2)

前回の説明で、一般のアンプとSATRI回路の増幅のしくみが全く違うもので、SATRI回路は原理的にリニアな増幅ができる回路ということがわかっていただけたと思います。ところがこの説明はまだ半分です。

 

実はSATRI回路はもう一工夫しています。カレントミラーの出力に電流が出てきたとしても、電圧に変換しないとその後の終段バッファに入力できません。電流を電圧に変換するには、電流を抵抗に通せば良いのですが、電流をロスなく電圧に変換するには、電流源ができるだけ高いインピーダンスになっていて、逆に、負荷になる抵抗のほうはできるだけ低いインピーダンスになっていないと電流が流れません。

 

インピーダンスの高い電流源から抵抗側を見ると、電流源のインピーダンスが非常に高いので、少しくらいの抵抗値なら、まるでショートしているかのように低く見えます。そこで、電流が一斉に抵抗に流れていきます。SATRIアンプではこの抵抗がボリューム(またはアッテネーター)になります。SATRIアンプでは、この抵抗値は最大10kΩくらいになりますが、SATRI-ICの出力インピーダンスは100MΩあります。100MΩから見れば10kΩはわずか1/10000にしかなりませんので十分小さい値です。

 

カレントミラー回路で、かつ、出力インピーダンスを大きく上げられるような回路は?というと、トランスインピーダンス回路というものがあります。トランスインピーダンス回路とは、文字通り"インピーダンスを変換する回路"です。入力に入って来た低いインピーダンスの電流をただ単純に高いインピーダンスに変換して出力に出します。

 

この部分をIC化したのがSATRI-ICです。前回説明した追加の抵抗はICの外側に付ける形にします。そのほうが後でゲインを変更しやすいからです。

 

ここまでの説明を図にするとこうなります。


SATRI-ICは単にインピーダンス変換だけするようにしておき、外付けの抵抗(R1,R2)をIC内のカレントミラー回路につないでIC内の増幅度を決定し、出力に出てきた高インピーダンスの電流を抵抗(ボリューム)に流して電圧に変換した後、出力バッファに渡せば、スピーカーが鳴らせます。ボリュームに使う抵抗は、電流伝送の点からみれば0Ωが理想ですが、電流源のインピーダンスは100MΩもありますので、10KΩ以下なら十分小さいです。

 

ここでもう一度上の図を見てみましょう。SATRI-ICの部分だけ見るとIC自体はインピーダンス変換しかしていないので増幅回路のようには見えません。変換しかしていない回路だから色付けが少ないとも言えます。

 

増幅に関わっているのはSATRI-ICの上に付いている2本の抵抗ですが「抵抗で増幅している」という言い方も一般的にはちょっと変です。抵抗は増幅器ではないからです。2本の抵抗の比で増幅しているので、「抵抗(比)で増幅している」と言えばより正確ですが、このような言い方でも上の原理がわかっていなければ理解されにくいでしょう。増幅と言えば普通は「真空管で増幅している」とか「トランジスタで増幅している」と言うのが常識です。抵抗は増幅器ではないので、いきなりこのようなことを言うと頭がおかしいと思われますので、意味がわかっている人以外にはあまり言わないほうがいいかも知れません。

 

また、上の説明で明らかになったように、SATRIアンプのボリュームはアンプの中央部にあります(市販のアンプではアンプ部の先頭に付いています)。SATRIアンプのボリュームが音質に大きく関係している理由は、この抵抗に全ての音楽信号(電流)を流すという使い方をしているからです。質の悪い抵抗を使ってしまうと、この抵抗に電流が流れたときに音質が劣化してしまいます。高価な抵抗アッテネーターが必要になるのも、ここで音質を落としたくないためということがわかっていただけたと思います。

 

SATRIアンプをグレードアップするとき、まず最初にボリュームを抵抗アッテネータに交換するのが良いのはこのためです。

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誰でもわかるSATRI回路の動作原理(1)

 SATRI-IC-SP.jpg
SATRI-IC-SP

SATRI-IC-SP x 7個でちょっと遊んでみました。これは冗談ですが、いまだに「SATRIアンプって電流増幅する回路なのですよね」とか「SATRIって電流アンプですよね」と言われます。直接質問された場合は「ちょっと違いますね(ほんとはだいぶ違います)」と訂正できますが、世の中には勘違いしたままの人もたくさんいるんだろうなと思います。一応、技術者向けにSATRI回路技術マニュアルというものがあるのですが、数式を使っていたりしますので、回路が読めるくらいの人でないとわかりにくいです。

 

そこで、もっとわかりやすく、誰でもわかるように説明してみます。わかってしまえばこんなにシンプルでいい回路は他にないことがわかっていただけると思います。厳密には違う部分があるかも知れませんが、がんばって説明します。

 

AmplitudeCurve.gifアンプは真空管やトランジスタで増幅することは誰でも知っています。その真空管やトランジスタは増幅曲線というものに従って増幅します(図の緑色の線です)。問題なのは、これが「曲線」だという点です。直線ならリニアに増幅できるのに、曲線になっているので、入力信号を増幅したとき、信号の形が入力と出力で同じ形になりません。これが歪になります。真空管やトランジスタのこの基本特性は変えられません。そこで、普通はこの曲線のうち、できるだけ直線に近い部分が使われるように工夫します。

それでも曲線ですから信号は歪みます。これはどんなにいい真空管やトランジスタを使っても逃げられません。これがもし一直線になっていたら理想的な増幅回路になると考え、そうなるようにしたのがSATRI回路です。

 

CurrentMiller.gif SATRI回路もトランジスタを使いますが、1個で増幅させる回路を組むのではなく、2個使って左のようなカレントミラーという回路を作ります。この回路は左のトランジスタに電流を流したとき、右のトランジスタにも全く同じ電流が流れるという動作をします。左のトランジスタに0.1A流せば右にも0.1A流れ、0.5Aなら0.5A、1Aなら右にも1A流れます。これって、リニアですよね。左の電流の変化に合わせてぴったり同じ電流が右側に流れますからリニアです。ただ、これだけでは、リニアではありますが増幅になっていません。

 

そこで今度は、左右のトランジスタの上に抵抗をつなぎます。たとえば、左と右がそれぞれ1:10になる抵抗値の抵抗をつないで、左のトランジスタに電流を流すと、右のトランジスタに10倍の電流が流れます。使っている2個のトランジスタの増幅曲線に関係なく、左のトランジスタに流れる電流に比例した電流が右側のトランジスタから得られる回路、これがSATRI回路です。続きは次回。

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SATRIマルチシステム
SATRI-Multi.jpg
SATRIマルチシステム(実験用)

エール音響のホーン3WAY用にマルチアンプを組んでみました。いま秋葉原にはドームツイータを使った小型2WAYスピーカーと、エール音響のホーンがあります。秋葉原でもホーンスピーカーは以前に比べてずっと少なく、本格的なホーンを置いているのはうちとヒノさんくらいかと思います。JBLの完成品はありますが、ホーンはやはり自分でいじれるところが面白いわけで、完成品で音が変えられないものはあまり魅力を感じません。

実験用に組んだのは、デジタルチャンデバとSATRIパワーアンプを3台使ったシステムです。エール音響のデモ機は、1台のアンプでも鳴らせるようにネットワークが組んでありますが、切換スイッチの変更でマルチでも鳴らせるようにしています。普段はアンプの比較に便利なのでネットワークで使っていますが、ホーンの真価を出すにはやはりマルチアンプでないと醍醐味を感じられる音は出ません。

マルチシステムはアンプを多数使うのでお金がかかりますが、ホーンの場合、能率が高いので大出力アンプを揃える必要はなく、大きな音量を出す場合でもせいぜいウーハーだけに出力の大きなアンプを持ってくれば間に合います。デジタルチャンデバがあると、クロスとスロープを細かく設定できてマルチの調整がやりやすいです。エールのデモ機は、標準では1kHzと8kHzなのですが、これは12dB/Octでネットワークを組む場合の推奨値で、デジタルチャンデバを使ってもっと急峻に切る場合はクロスを多少変更しても大丈夫です。このチャンデバは6,12,18,24,48,96dB/Octまで設定できるので、クロスを変えずにスロープだけを変更して音の変化を確認するだけでも面白いです。フィルターカーブもチェビシェフ、ベッセル、リンクウィッツの中から選べますが、これを変更するだけでもかなり違う音になります。グラフ上で見るだけだと肩特性が少し違う程度にしか見えませんが、音はずいぶん違うものです。

とにかくいろいろいじれるのであっという間に時間が過ぎてしまいますが、肝心の音を決められないのが一番の問題です。耳だけで適当に調整しても、次の日に聴くと変に聞こえてしまうのでまたいじることの繰り返しになります。これではきりがないので、おおまかな調整は測定器を使うことにしました。そうして最初に導入したのがCLIOwinでしたが、今はバージョンが上がってCLIOfw(FireWire仕様)になっています。基本機能は変わっていませんが、分解能が上がっています。ノートパソコンとケーブル1本で接続できるようになって持ち運びに便利になりました(ただ業務用なみの値段がしますので個人用には安価なSoundTesterをお勧めします)。周波数特性だけでも簡単に測れると調整がかなりしやすくなります。3WAYなら、低音だけ、中音だけ、高音だけ音出しをしながら特性を測るとそれぞれのユニットがどういう特性か確認できます。ツイータの下は無理に出すと危ないのでレスポンスを見ながら少しずつ下げていきます。全体的なレベル調整も周波数特性を見ながらやるとわりと簡単にできてしまいます。一通り調整が終わった後でCDをかけてどういう音が出るか確認します。大体バランスが取れていたら、ここから先の微調整は耳で追い込みます。

だいたいこんなやり方で調整が終わったホーンの音は、小型スピーカーでは出せないヌケの良さとスケール感が味わえます。オーディオをやっていて良かったと思う瞬間です。

マルチアンプ用に普通のアンプを使うと「サー」というノイズが聞こえることがけっこうありますが、SATRIアンプはゲインコントロールアンプなので、もしツイータから「サー」というノイズが聞こえたらツイータ用のSATRIアンプのボリュームを下げるとノイズも聞こえなくなります。ゲインを下げれば音量も下がりますが、その分はプリかチャンネルデバイダーの調整で持ち上げてバランスを取れば良いです。ゲインコントロールアンプはホーンのような高能率スピーカーによく合います。

ホーンシステムは感度が非常に高いので、ちょっとでも嫌な音が出るアンプだとその悪さがはっきり聞こえてしまいます。まるでアンプの欠点検出器のような感じです。本当に良いアンプを持ってこないと良さが発揮できないので気が抜けませんが、その分、やりがいがあるシステムです。何より、音の鮮度が高いところは他のスピーカーではマネができないので、鮮度重視なら「もうこれしかない」と思います。

本格的なホーンの音を聞いたことがないお客さんが来ることがありますが、鮮度の高い音を聞くと驚きます。同じ曲を小型ドームツイーターの2WAYで鳴らすと、その落差にまた驚きます。ホーンとそれ以外のスピーカーは使いこなしも能率もかなり違うので、全く別のものとして扱わないとそれぞれの性能をうまく発揮できないと感じます。

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まとめ
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